【パリマスターズ】西岡良仁―カラツェフ

初対戦ということで、カラツェフは西岡の嫌らしいテニスを把握できていなかったのかもしれない。シャポバロフに「ウザイ(annoying)」と言わしめたように、回転やバウンドを変えながら相手のミスを誘う西岡のテニスは狡猾だ。お互いに、さほどよい出来ではない中での対戦だったが、ラリーでの西岡らしさにカラツェフがネットにかけてしまうシーンが目についた。

しかし、この試合の勝敗を分けたのはサーブだ。西岡が、ここぞというビハインドのポイントで効果的なサーブを決めたのに対し、カラツェフは大事なところでのダブルフォルトが痛かった。巻き返すチャンスがありながらつかみ切れなかったのは、まさしくサーブの不調によるものと言ってよいだろう。西岡は170km/h台でも、狙ったコースに飛んでいたし、抜いたセカンドサーブでもポイントを取れていた。

このアリーナのこのコートでは、陣営席がコートエンドに配置されていて、ラインパーソンの影に隠れるような場所だった。あれでは、やりにくかっただろう。試合開始時に西岡が妙なリアクションをしていたのは、ザハルカさんを探していたからなのかもしれない。それにしても西岡は体形が少しがっちりした印象があって、何となくではあるがシュワルツマンに似てきたようにも思う。長い試合で筋肉を傷めることもあったので、この変化は悪いことではないだろう。