【ヨーロピアンオープン】コルダ―西岡良仁

テニスの試合というものは、選手だけでなく会場の雰囲気が作るものなのだと実感した内容だった。アントワープでは午後早い時間ということもあって、スタンドの観客も少なく、緊張感のない雰囲気が会場ロトアリーナを包み込む。西岡の出来は本当に冴えなかったが、コルダもさほどよかったわけでもない。ボールパーソンも眠そうな表情で、観客にも熱気のかけらも見られないことも、大いに影響していたのだと思う。

そう考えると、先日の楽天ジャパンオープンでの有明コロシアムの熱気は素晴らしかった。声の応援は限定的だったものの、タイムリーな拍手や手拍子、どよめきなどが選手のモチベーションを上げていたことは間違いない。DJケチャップも言っていたが、やはりスポーツイベントは選手だけが盛り上げるものではないのだ。

それにしても西岡は、どうしてしまったのか。入場の時点から表情が硬く、緩急をつけているはずが一本調子になる。コルダが西岡のプレーを研究した形跡は窺えたので、もちろんその影響もあっただろう。前に出ればロブを上げられ、ムーンボールはオープンスパースに強打される。ミスも多いコルダだったが、西岡は封印していたはずの不満そうな仕草が随所に現れ始めると気持ちの切り替えができなかった。ただ、最初からラケットを気にする様子が見られたので、何かあったのかもしれない。

西岡は今日、土曜日にウィーンの予選が組まれている。アントワープからウィーンならそれほどの移動距離ではないが、連戦の疲れも溜まっているはずなので、ちょっと気になるところだ。