【Citiオープン】キリオス―西岡良仁

西岡良仁の大冒険は、最後の最後でラスボスに阻まれた。勝つチャンスがなかったとは言わないが、キリオスの方が一枚上手だったのは確かだろう。ルブレフ戦のようにラリーに持ち込んでミスを待ちたい西岡に対し、ショートポイントで決着をつけようと試みるキリオス。強いサーブを西岡がなんとか返しても、サーブ&ボレーでネットを取ったキリオスが壁のように立ちはだかった。そして判断の早さもあって、なかなか自分のペースに持ち込ませてくれなかった。

いずれのセットも、最初のゲームをブレークされてしまうと、観客にとっても緊迫感に欠ける展開になってしまう。0-30までは行っても、ここぞという場面を作るのは簡単ではなく、西岡がいいように手なずけられたように見えたのではないだろうか。感性のプレイヤーのように見えるが、実はニック・キリオスという選手は戦術眼にも長けている。それを続ける集中力さえあればの話ではあるが…

いずれにしても、西岡にとって自信を取り戻す大会になったことは間違いないだろう。好調な選手、シード上位の選手を破ってのファイナリストなのだから、大いに誇ってもよいだろう。ここからの北米の大会でランキングを上げ、10月の楽天オープンではぜひ凱旋してもらおう。お疲れさま、西岡!