【Citiオープン】西岡良仁―エヴァンズ

まさに激闘だった。雨天中断後のタイブレークをもぎ取った西岡に対し、エヴァンズも簡単には引き下がらず、セットオールでファイナルセットに。ここで西岡が先にブレークを奪ったものの、すぐにブレークバックされてしまう。そして第7ゲームをブレークしたエヴァンズのリードも、すぐに西岡が取り返す。いつもの西岡なら、もうこのあたりで気持ちが切れてしまうこともあるのだが、どちらかというとメンタルが乱れていたのはエヴァンズの方だった。

隣のコートのマイク音声や歓声が聞こえる環境で、どうやらスタンド内にも騒々しい観客もいたようだ。さらにはバッタなどの虫がコート上に死んでいたり、観客が電光掲示板の前をウロウロしてサーバーの集中を妨害したり。そして極めつけは、振ったり止んだりの雨。微妙な量が降ることもあって、チェアアンパイアのライアニさんも判断は難しかったことだろう。そんな中で、じれるような終盤を迎え、西岡も時折不満気な表情を浮かべるものの、エヴァンズの比ではなかった。

ファイナルセット第12ゲーム、ついに西岡がリターンゲームでマッチポイントを迎える。マッチポイントをつかんだプレーは、渾身のパッシングショット。前に出たエヴァンズの脇をきれいに抜き、西岡は跳び上がって喜びを表現する。これでプレッシャーがかかったエヴァンズは次のサーブに対する西岡のリターンをアングルショットで返すが、これがワイドにアウトとなって西岡の勝ちが決まった。観客へのお礼も忘れて吠える西岡だったが、あれだけの執念あふれるプレーを見た後では誰もが賞賛の拍手を送っていた。ついにATP500の大会で初めての準決勝。相手はルブレフなので、簡単には勝てないだろう。しかし、ここまでの勝ち上がりで得た自信を生かせば、勝機は必ず訪れる。