【ドラマ】Into the Night

Netflixで配信中のベルギードラマ「Into the Night」を、あまり期待せずに見始めた。ブリュッセルからロシアに向かう飛行機のゲートが閉まる直前に乗り込んできた乗客の「このままではみんな死ぬ。太陽から逃げて西へ飛べ」という要求に屈する形で離陸した飛行機を、副機長とヘリコプターの操縦経験がある素人が飛ばす。そんな展開を低予算で作ればひどい作品になっていてもおかしくないからだ。

しかし、このドラマはそんな予想を良い意味で裏切った。搭乗者の過去にフォーカスして、なぜこの飛行機に乗ることになったかを描きつつ、奇想天外とも言えるストーリーを堅実になぞる。西回りで何度も高緯度地域を一周するのだが、燃料や航路のことを考えればかなり無理がある設定ながら話のオチはつけられているので、騙されたと思って見続けるうちに引き込まれてしまう。フランス語が主体ながら、英語も混じっていて、いかにもEUという雰囲気を纏っていることもモチベーションをつないでくれる。

ただ、意識しておいた方がよいのは、この作品では人が簡単に死ぬということだ。主要人物と思っていても銃弾一発で死んでしまうし、そこには引きずられる感傷もなく、話は淀みなく続いてゆくだけなのだ。30分強の全6話が2シーズンなので、無駄な場面を極力削ぎ落とした結果なのだろうが、ある意味潔いので見ていて受け容れられる。シーズン3に期待させる終わり方だったので、打ち切りにならないことを願っている。