【楽天ジャパンオープン】Day-3

仕事を早目に上がって有明コロシアムのナイトセッションに向かう予定の一日だったが、うまくすればデイセッションにアサインされていた西岡良仁/内田海智とキリオス/コキナキスのダブルスも見ることができるのではないかと思っていた。しかし、雨雲レーダーをチェックしていても、去ってゆくはずだった雨雲がなかなか消えてくれない。ダブルスはインドアコートの無観客試合となることを覚悟していたものの、先に有明で観戦していた妻から「西岡のダブルスがナイトセッションに変更」との吉報が入った。

シャポバロフとスティーブ・ジョンソンの試合の終わりを待たずにナイトセッションのチケットでの入場が始まり、コロシアム周回部分が大混雑。スタンドに持ち込む前提のフード類が見当たらず、まい泉のかつサンドをどうにか確保した。そして3試合となったナイトセッションの第1試合は、6時前に選手が入ってきた。

シングルスでの敗戦直後だった西岡は、やはりコンディション的には芳しくなさそう。その分、内田がカバーしようと高速サーブを叩き込む。決まったときは気持ちよいほどの思い切りのよいサーブだったが、決まれなければ始まらない。一方のキリオスとコキナキスは、プレーを楽しみながらもダブルスの技術を随所に披露する。特にコキナキスは、ピンボール状態のラリーの中でもしっかり狙い通りのコースを突いていて、視野の広さと技術を見せつけた。これぞ、ダブルスの醍醐味だ。

圧巻だったのはキリオスのスーパーショット。さいたまスーパーアリーナで開催されたIPTLで錦織圭と対戦した試合以来の生キリオスだったが、大きくワイドに振られながらネットの横を巻いて相手コートに落ちるショットは、自分でも思いもしなかったようでキリオスが驚いたように自画自賛していたのが印象的だった。終盤にはアンダーサーブも披露。僕もつい「出た!」と声に出してしまったが、内田も読んでいたようで、見事なリターンエースで対応してくれた。結果的には、6-1 6-2でキリオス/コキナキスが余裕の勝利だった。

第2試合はフリッツとダックワース。選手入場の際にフリッツがふてくされたような態度を見せていて、そういう選手なのかと思っていたのだが、実は彼は韓国でコロナ感染が判明して隔離扱いだったとのこと。ホテル軟禁状態から今朝ソウルから東京入りしたらしいので、あの態度も仕方ないところだろう。試合中にダックワースのタオルを間違って手にした後、そのタオルをボックスの外に捨てていたのだが、これも自身のコロナ感染を配慮しての行動だと思われる。

フリッツのサーブは200km/hを超えることは稀だが、回転量多めのパワフルなサーブを巧みにコントロールして絶妙のプレースメントを決める。序盤はこのサーブで、ダックワースを圧倒した。しかし、セカンドセットに入るとダックワースも盛り返し、一進一退の攻防に。ダックワースの執念を感じるリターンにフリッツのエラーが増え、観客も一気に盛り上がりを見せる。僕の中では2017年楽天オープンのティエムとスティーブ・ジョンソンの試合がこれまでに観戦した中でのベストマッチだったが、それに匹敵するくらいの好ゲームだった。勝利を決めた後のフリッツには笑顔が戻り、かすれた声ながらもDJケチャップから渡されたマイクで東京のファンへのメッセージも伝えてくれた。

第3試合はムナールとペドロ・マルチネス。時間が遅くなったのでファーストセットをムナールが取った時点で僕は離脱したが、結果的には逆転負けとなっている。前の試合に比べるとやや物足りない内容ではあったが、まるでクレーコートで戦っているかのような激しいラリーは見応えがあった。3試合見られたことと第2試合の充実で大満足のナイトセッションだったが、観戦しての疲労もかなりのもの。休息してDay-4に備えよう。