【楽天ジャパンオープン】Day-4

今年の楽天ジャパンオープンは、もともとアスタナに選手を持っていかれた上に錦織とズベレフが欠場。ノリーまでがコロナ感染で欠場となって、正直あまり期待はしていなかった。ところが、予選も本戦も好ゲームが続き、思いもよらないほどの満足感が得られている。木曜日のDay-4ナイトセッションは、その極めつけのような内容だった。

前日に続いて、この日のナイトも3試合が組まれた。まずは、11時からショーコートで対戦予定だったブランドン・ナカシマとチョリッチ。美しいフォームから繰り出されるショットが小気味よいブランドンだったが、チョリッチの勢いに押されはじめ、7-5 6-2でチョリッチが勝ち抜ける。ハードな打ち合いは非常に見応えがあり、前日のフリッツとダックワースの一戦に匹敵するような試合だった。日系ということも差し引いても、ブランドンの今後に注目したいと思わせるプレーだ。

続いては、シャポバロフに野口莉央が挑む。野口にとっては3-6 1-6の完敗ではあったが、内容では決して圧倒されていたわけではなく、シャポバロフがテンションを上げて吠えまくっていたことを考えても、彼を本気にさせるほどの野口のテニスだったということだ。序盤はしっかり食らいついていたし、あの遅いサービスでも戦えていた。負けはしたものの、今後に向けて「やれるのではないか」という大きな自信を得たのではないだろうか。

そして最後は、守屋宏紀とフリッツ。いきなり守屋がブレークして一気に期待が高まったが、そこから6ゲームを連取されてファーストセットを落としてしまう。恐らく守屋は、フリッツのサーブ対策に意識を向けすぎてしまい、自身のサービスゲームの組み立てを熟慮する余裕がなかったのではないか。守屋の素晴らしいところは、セカンドセットに立て直してセットオールとしたところ。3球目を意識した展開は、フリッツを十分に苦しめた。先にブレークをもぎとった場面とセカンドセットを取った場面では、スタンドは大いに盛り上がった。

そしてファイナルセットも、ブレークを先行されながらもブレークバック。この時点で夜11時に近づき、後ろ髪を引かれながら帰宅する人も多かったが、幸い僕たちは豊洲にホテルを取っていたので、最後まで余裕で観戦することができた。最後はフォアが浮いてしまって敗れはしたが、守屋の戦いは賞賛に値する。フリッツとダックワース、ナカシマとチョリッチの試合を上回るベストマッチになった。これだけの内容のシングルス3試合なんて、そう簡単に見られるものではない。今後の観戦でも、これを超えるような内容はそうそうないだろう。これはもう、選手たちに感謝するしかない。