【映画】ムーンフォール

Amazonプライムの独占配信ということで、かなり煽り気味の宣伝をしていただけに、結構期待していた。しかし、見始めてすぐに、これをシリアスなSFドラマとして見ることが難しいと気づき、最終的にはコメディとして見るべきものだと理解した。アメリカンなドラマのように台詞や設定で明示的に笑わせるのではなく、「それはないだろう」と呆れながら笑うという、新機軸のジャンルに入れるしかなさそうだ。その意味で本作の実質的な主演は、ハル・ベリーでもパトリック・ウィルソンでもなく、ジョン・ブラッドリーだと言える。

その原因はキャスティングにあるように感じた。ハル・ベリー以外はあまりインパクトもないし、そのハル・ベリーも宇宙飛行士はどうにか似合うものの、NASAの要職というポジションは完全に無理がある。ギャラの安い俳優を使っても問題ないのだが、本当にその俳優がベストだったのか、他に候補はいなかったのかと思わざるを得ない人選で、そもそも感情移入できそうなキャラクターが見当たらなかった。

ストーリーは科学的に成り立たない構成なのに、米国作品にありがちだが無理にロジカルな説明をはめ込もうとして、それが悪い方向に作用してしまっている。これを笑って見られればエンターテイメントとして成立するのだが、そうでないオーディエンスにとっては「駄作」と切り捨てる以外に選択肢はないだろう。