【ドラマ】ブリジャートン家 シーズン2

時代劇コメディ仕立てながら実はかなり深い群像ドラマになっているのは、さすがションダ・ライムズということだろうか。シーズン1もそうだったが、最初のエピソードだけ見ても面白さは伝わって来ず、徐々に味わいが広がってゆく。シーズン1は長女のダフネが主人公だったが、今回は長男のアンソニーにスポットが当たり、インド系のシャルマ家との縁談を軸に展開する。

ドラマを見慣れた人なら、アンソニーが最終的に誰と結ばれるか想像がついてしまうのだが、そのあたりの心理を刺激しつつ予定調和に持ち込んでくれるところは安心できる。これでとんでもない悲劇に落ち着いてしまたら、先を見るモチベーションが下がってしまうだろう。他のドラマや映画でもそうだが、「これが世間の厳しさ」とばかりに現実を見せつける展開には視聴者はなかなかついてこないものなのだ。

それにしても、脇役のキャラの濃さが素晴らしい。英国王はとんでもないボケ老人だし、その王妃はルックスだけ見るととても下品な印象。社交界を操る仕掛人のレディ・ダンベリーやフェザリントン家の面々など、身近にはいて欲しくない顔ぶればかり。特に母親的な位置づけの女性の、あくどさ全開の母性本能は、監督が女性のションダだからそこ描けたのではないかと思いばかりのどぎつさだ。アフリカ系やインド系など、19世紀初頭のロンドンには現実離れしたダイバーシティが繰り広げられているが、それがファンタジーっぽく見せる仕掛にもなっているのは興味深い。