【フィギュアスケート】NHK杯アイスダンス

三浦璃来と木原龍一の成長も著しいが、村元哉中と髙橋大輔のアイスダンスは素晴らしかった。表情にも余裕があり、リフトでも手足が震える場面は減少して、全体的に芸術性の高い演技になっていた。髙橋のセンスとリズム感は傑出しているだけに、村元との波長がうなく合えばまだまだ高い得点を出せるはず。ツイズルが課題のようだが、ここについても昨季に比べて大幅に進歩しているので、さらなる進化を期待しよう。

ただ、村元と髙橋がオリンピック出場枠に大きく迫ったということは、小松原夫妻が弾き出されてしまうということになる。ティム・コレトが日本国籍を取得して小松原尊となったのは、北京オリンピックの出場ということが大きいだろうとは容易に想像できる。そこまで大きな決断をした彼らが、セカンドチャンスの髙橋の後塵を拝してしまうのは心苦しいが、そこは実力の世界なので巻き返してもらうしかないだろう。それにしても、小松原夫妻のパーソナルベストを村元と髙橋は上回ってしまっているので、かなりのブレイクスルーが必要になる。

いずれにしても、世界との差はまだまだ大きい。この種目は選手生命も長いだけに、熟練の技術を持つカップルも多いのは事実。短期的な出場枠を競うだけでなく、長期的なアイスダンスの人気向上と、それに伴う競技人口の増加によってレベルをもっともっと引き上げてもらいたい。協会にも、その視点をぜひ貫いていただきたい。