【デルレイビーチOP】西岡―オペルカ

表彰式での西岡のスピーチにもあったように、彼にとってはオペルカが強すぎてどうにもならないというマッチだったのだろう。強烈なサーブをリターンすべくポジションを下げると、オペルカのキックサーブはサーフェスで大きく弾んで西岡の守備範囲を超えてゆく。せっかく面を合わせて返したと思えば、判定はフォルトだったりレットだったり。僕が同じ立場でも、ラケットを投げつけたり、ボールをスタンドに打ち込んだりしたくなる衝動に駆られるだろう。

そうなると、西岡にはノーチャンスだったか。そんなことはない。自身のサービスゲームでは、かなり有利に進められていた。それでも、ミスが出ればピンチを招き、追い詰められて自滅する。勝負どころで前後の変化をつける、つまりドロップショットを効果的に打てるかどうかが勝負の分かれ目だったように思う。

準優勝とはいえ、これで西岡良仁はATPランキングを自己最高の48位に引き上げ、東京オリンピックの基準のひとつである「56位以上」をクリアした。これによって錦織圭は、デビスカップの出場条件を満たしていないだけに、西岡がストレートインすることで弾き出される可能性も出てきてしまった。日本協会としては、悩ましいところだ。