【TOKYO 2020】車いすテニス 上地結衣/大谷桃子

NHKライブ配信を見ていて、選手入場のところから気になっていた。上地の表情が硬く、大谷もそれにつられるようにこわばっていて、二人の間で会話がまったくないように見えたのだ。オリンピックの大坂なおみと同じ最終点火者を担い、シングルスではすでに初戦を勝っていたとはいえ、ダブルスの初戦にも相当なプレッシャーがあったのだろう。

そして試合が始まり、最初のポイントでいきなりトラブルに見舞われる。アレーに落ちたボールに対して、ラインパーソンがまさかのアウトコール。シングルスなら当然アウトの領域だが、これはダブルス。通常のテニスでも車いすでも変わることなく、インのショットだった。さらに、チェアアンパイアがそのポイントを登録することができず、しばらく試合は中断。無事再開したものの、ファーストポイントを中国ペアが取り、長いラリーが続く一進一退の展開からようやく上地/大谷ペアがゲームを奪った。オウトコールをした日本人女性のラインパーソンは、おそらく責任を感じただろうし、気が気ではなかったはずだ。

ただ、競ったのはこのゲームくらいで、その後は徐々に調子をつかんだ上地/大谷がポイントを重ね、ダブルベーグルで勝利を収めた。試合後には二人が談笑する姿も見られ、見ているこちらもホッと一息つくことができた。それにしても、「ノーレット」の変則ルールで開催されていたエキシビションのIPTLで、チェアアンパイアが「レット」をコールしてしまい、選手ともども苦笑したシーンは見たことがあったが、パラリンピックの本戦で、しかもホストカントリーの選手のファーストポイントで、ホスト国のラインパーソンがミス。これはさすがに、語り草になるだろう。