【ローランギャロス】加藤未唯/スチャーディの失格

経緯と結果については報道されているが、いわゆる全仏オープンの女子ダブルス3回戦でボウズコバ/ソリベストリモと対戦した加藤未唯/スチャーディがボールパーソンに恋にボールをぶつけたとして失格の扱いとなり、今大会の賞金とポイントを没収されるということになった。チェアアンパイアはいったんワーニングとしたものの、相手選手の抗議と泣き続けるボールパーソンの影響を受けて、最終的に大会役員が登場して判断が下された。

僕が気になるのは、チェアアンパイアも現場を視認していない上に、役員の映像を確認していたとは思えないところ。当該ボールパーソンに話を聞いていたが、彼女の仕草は「誰かを非難している」ようにも見えたので、それだけで失格を判断したのであればプロセスとしては十分でなかったと言わざるを得ない。ボウズコバとソリベストリモはベンチでほくそ笑んでおり、これだけでも十分に印象の悪さを残している。ソリベストリモはファイターとして、使えるものは何でも使うタイプの選手で、マナーももともと決して良くはない。

実はこの判定には伏線がある。この場面の直前に、ボウズコバ/ソリベストルモ組のショットが大きくなり、ラインパーソンが「アウト」コールをしたものの、チェアアンパイアがマークを確認した上で「イン」の判定。しかもリプレイ・ザ・ポイントではなくボウズコバ/ソリベストルモのポイントとしていた。これが直前にあったからこそ、加藤の行為が「報復」とみなされたのではないか。もちろん、ボールパーソンに報復する意味はないのだが、客席にボールを打ち込むような不満の表明としての行為とみなされた可能性は高い。

この件はすでに炎上状態にあり、ジル・シモンTwitterでボウズコバ/ソリベストルモの行為を非難しているし、ヨーロッパのメディアも概ね加藤に好意的だ。いまさら判定が変わるとも思えないが、こんなことで勝者を決めてはいけないし、ブレークダウンから加藤/スチャーディが盛り返す途上だっただけに、観客も残念だったことだろう。スタンドにもブーイングが響き渡っていたが、それは加藤に対してではなく、大会運営に対してだったと僕は思っている。