【USオープン】西岡良仁―アンディ・マレー

USオープンで引退から復帰途上にあるアンディ・マレーと対戦した西岡良仁は、マッチポイントを握りながら勝ち切れず、フルセットの末にちょっとした差で敗れた。その前日には内山靖崇も、カレニョブスタとフルセットにもつれながら、最後は振り切られてしまった。西岡も内山も、もう一歩で強敵を倒せたし、結果も素晴らしいものだった。それでも勝ち進めなかったのは、それもまた実力ということなのだろう。

内山はグランドスラムの本選にシングルスで進むのは初めてということもあり、5セットを見据えた戦いができていなかった可能性はある。それでも、ファイナルセットで追い詰められた局面でもサービスエースを連発しており、タフな対戦相手に最後まで食い下がっていたことは大いに評価できる。西岡は、いつものように多彩なショットでマレーを翻弄しながらも、ちょっとしたミスでアンフォーストエラーを犯していたあたりがもったいない。

それにしても、センターコートであるアーサー・アッシュ・スタジアムには無観客とはいえ関係者や選手がいたのだが、2セットダウンという状況に陥ったマレーに対して驚きの眼差しとともに「がんばれアンディ」の雰囲気が漂っていたように思う。大坂なおみもスタンドで観戦していたが、以前アンディと練習したことをとても喜んでいたので、彼女もまた西岡ではなくマレーを応援していたのかもしれない。そんな状況を生み出したことを西岡は誇ってよいし、それでも勝てなかったことを踏まえてクレーシーズンの準備を進めてもらいたい。