【ドラマ】コペンハーゲン:権力と栄光

デンマークを舞台に展開する内容で「マダム・セクレタリー」に近い部分も多いのだが、特徴は連立政権内閣であること。連立与党内で繰り広げられる駆け引きが、いかにも政治家らしい打算と戦術に基づいていることがリアルでもあり、興味を引かれるところでもある。シーズン3から9年後に放送されたシーズン4(権力と栄光)では、その「打算」の部分がクローズアップされ、主人公ビアギッテの変化が生々しい。

デンマーク支配下グリーンランドで油田が発見され、自分たちのレゾン・デートルともいえる環境保護を捨ててまで国家としての利権を守ろうとする新民主党。自分なりに理屈をつけたつもりのビアギッテだったが、党内にも世間にも受け容れられない。これは、職場でもよくあることで、自分勝手なストーリーがいかに無意味であるかを再認識させられる。当の本人たちは「〇〇のため」と合理性を主張するのだが、その「〇〇」が実は自分たちでしかないということだ。シーズン3でビアギッテの報道官だったカトリーネがTV1の要職に返り咲き、彼女もまた同じように道を踏み外してゆく。

シーズン3までは政局の中で各党がどう動くかという展開だったが、シーズン4ではグリーンランド問題にほぼ絞られ、ビアギッテとカトリーネがさまよったあげくに自分としての答を見つける「seek & find」の物語といってよいものになっている。ただ、全8話の8話目で一気にふたりがその答にたどり着く急展開なので、取って付けた感も否めない。全10話くらいで、もう少しじっくりそのあたりを見せてくれてもよかったのではないだろうか。