【全豪オープン】フェデラー―ミルマン

ブリスベーンの出身とはいえ、母国オーストラリアでのグランドスラム。ジョン・ミルマンが燃えないはずがない。フェデラー相手に互角以上と言ってよいテニスを展開し、最後まで食らいついた。しかし、フェデラーの底力も素晴らしい。ファイナルセットのスーパータイブレークでリードを許しながら、終盤に一気にひっくり返す。ミルマンに焦りとプレッシャーはあっただろうが、フェデラーのプレーの安定ぶりは、目を見張るものがあった。

ロッド・レーバーアリーナの雰囲気はおかしかった。人気者フェデラーと地元ミルマンの対戦だが、想定以上にフェデラーへの声援が大きい。フェデラーの勝利で試合が終わってミルマンが退場する際のクラウドがブーイングのような音にも聞こえたが、あれは反響のせいで称賛だったのだと思いたい。ミルマンにしてみれば、セカンドセットのタイブレークなど勝ち切れるチャンスは随所にあっただけに、悔やまれるところだろう。

楽天オープンの予選の最終戦と決勝のジョコビッチ戦を観戦しただけに、僕にとってミルマンは旧知の仲のような感じがする。ボールパーソンに配慮する余裕が感じられなかったことはやや残念だが、プレーではどちらがフェデラーかわからなくなるようなパッシングショットを何本も決め、間違いなくフェデラーを追い詰めていた。もったいない敗戦だが、きっとこれを糧にまだまだ成長を見せてくれることだろう。