【東京都美術館】ハマスホイとデンマーク絵画

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東京都美術館の「ハマスホイとデンマーク絵画」展はキュレーションが素晴らしい。集められた作品もレベルが高く、デンマーク絵画から始まって終盤のハマスホイにつなげる中で、徐々に画風が近い作品にシフトしてゆく。ストーリーも感じられる上に、ハマスホイ作品への期待も高まる。そして迎えたハマスホイ作品は、彼の代名詞である室内画に留まらずに多彩な作品群が展示されていて、良い意味で期待を裏切られる。

ハマスホイの作品は国立西洋美術館にもあるし、仕事で訪れたコペンハーゲンでも堪能したつもりだった。しかし、今回はスウェーデンの美術館からのものも多く、風景画や人物画まで含めた作品を十分に楽しめる。独特の世界観の室内画では、作品との境界を越えたら映画やドラマによくある「向こう側の世界」に入り込んでしまいそうな不思議な感覚すら味わった。静謐で無機質ながら、どことなく温かみも感じられる世界だ。

今回来ているデンマーク絵画には著名な画家は多くないが、作品はスタイリッシュで上質だ。日本ではデンマークという国のブランド価値はさほど高くないが、そのおかげでおいしいチーズも割安に買える。今回の作品にも、そんな価値が見出せる気がした。