ゴールキーパーの役割とは

サッカーでは「後ろの声は神の声」というらしい。つまり、自分よりもより広い視野で全体の流れを見ている後方からのコーチングには従え、ということだ。誰がどんなコーチングをしているかは、テレビ観戦で味わえない。芝生の匂いやスタンドの応援の迫力とともに、「生の醍醐味」はここにある。

良いGKの資質のひとつに、「通る声」があるのではないだろうか。名古屋の楢崎は反応とハイボール処理に秀でた選手だが、いかんせん何を言っているのかわかり難い。磐田に移った川口は、僕の印象では声がいまいち通らない。それに比べれば、大分の岡中は通る声で的確に指示の出せるGKである。今は引退してしまったが、横浜F・広島・名古屋などチームを渡り歩いた佐藤浩コーチングも記憶に残っている。

ナイスセーブ、飛び出しにこそGKの見せ場があるのだが、そんなピンチを招かないように未然に防ぐことを、どれだけコーチングでできるかが真のGKの価値なのだ。「○○、戻って来い」「サイドケア」「フリー」など、守備に限らず、攻撃に転じたときにもコーチングは必要だ。スタジアムでゲームを見るときには、こんなところにも注目してみてはいかがだろうか。

そういえば、かつて日本ユース代表のポルトガルとの親善試合(中田ヒデのハットトリックで勝ったゲームで、ポルトガルにはヌノ・ゴメスがいた)で、GK本田征治(現神戸)にゴール裏から「コーチング」しているサポーターがいたのには笑えなかった・・・