【ドリームガールズ】R&Bの魅力が満載

ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した「ドリームガールズ」は、エディ・マーフィのやや抑え目の演技やビヨンセの歌唱力など、いろいろと見どころのある映画です。全編を通して流れるアメリカン・ルーツのいわゆる黒人音楽、ジャズやブルースがふんだんに使われていて、それがある意味主役のようにして展開されます。というのも、ストーリー的にはミュージシャンの恋愛関係のもつれや友情といった「よくある」内容で、深みのあるものではないからです。

アフリカン・アメリカンが当時のミュージックシーンでどのような位置づけにあったのか、そのような視点も描かれているので、歴史的な見方をしても楽しめるように思います。途中に出てくるマーティン・ルーサー・キングJrのレコーディングの話は、思わず笑ってしまいますよ。

作品の序盤では地味だったビヨンセが、終盤に向けてどんどん派手になっていくあたりも、制作者の意図が感じられておもしろかったです。シンガーとしては「仲間より下手」という役回りだったため、あえて抑えて歌っていたらしいですが、それでも存在感はさすがですね。ストーリー云々よりも、純粋にR&Bの雰囲気を楽しむ。そんな一作です。