キュビズムの作品は「画家の認識の単位に分割した細部の統合」というイメージだったのですが、その分割単位は単に「視野」だけではなく、光の加減や骨格などの内部構造もあるのだと気づきました。キュビズムは分割した細部をそのまま配置し、一方フォービズムは全体を主観的に捉え直して構成する印象。そして、それらが統合された形態が、モンドリアンやカンディンスキーの抽象なのかもしれないと思ったのです。
そんなことに気づかせてもらえるほど、日本人画家のキュビズムは多彩でした。特に山本敬輔の「ヒロシマ」は、ぜひゲルニカと並べて見てみたいものだと思います。模倣と言えなくもないのでしょうが、そこに込められたメッセージの質量は、十分ゲルニカに匹敵します。