【埼玉県立近代美術館】川原慶賀の植物図譜

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北浦和埼玉県立近代美術館で開催されている「川原慶賀の植物図譜」を訪れました。川原慶賀は江戸時代後期に長崎の出島でオランダ商館との交流を持ち、日本の文物を描いた絵画を制作していたそうです。高校時代の友人が企画に関わっていることもあって、この展覧会に興味を持ったのでした。

作品を鑑賞する中で、慶賀が植物の全体的な美しさには興味がなく、花や葉の構造、色の変化などに科学的、分析的な視点で惹かれていたのだと感じました。その意味で慶賀はレオナルド・ダ・ヴィンチに似ていて、これらの植物図譜は「画家が手掛けた博物資料」なのだろうと思います。これらの作品が医師シーボルトの手を通ってロシア科学アカデミーに渡ったのも理解できます。寒冷地シベリアを領有するロシアにとって、植物の特性は重要な情報だったと思うのです。

展示の序盤には日本画の技法に則った作品か続くのですが、そこには「線を大事にする」特徴が見て取れます。それこそが、植物を博物的に描く上で必要不可欠な要素だったはずなのです。