【楽天オープン決勝】キリオス―ゴファン

錦織圭が早々に消えてしまったことで、どんな決勝カードになっても来場者数は伸びないのではないかと懸念していた。ゴファンとキリオスというテニスファンにとってはなかなか面白い顔合わせではあるが、錦織目当てのにわかファンにはどうだろうか。しかし、連日1万人を超える入場があり、ダブルスの決勝などは海外でのトーナメントより賑わっているほどだった。

ここまでリラックスした戦いぶりだったキリオスも、さすがに決勝は硬さがあった。しかし、セカンドサービスでも押しまくる独特の戦術で、しかも息をつく間もないほどの間合いでサービスを打ち込み、主導権を握った。一方のゴファンは第1セットを取ったものの、その後はキリオスの間合いに飲まれてしまい、重要な場面でダブルフォルトを繰り返す。スコア以上にキリオスのペースで進んだ試合は、キリオスのサーブが入るかどうかで流れが決まってしまった。

異端児としての地位を確立しているキリオスだが、今大会ではスタンドで転倒した観客のために水を届けさせるなど、紳士的なテニスプレイヤーという表情も見せた。錦織をはじめとする日本選手にとっては嫌な相手であることは間違いないが、テニス界としては新しい勢力がジョコビッチとマレーの天下を打ち破ってくれないと困るだろう。