【アニメ】新海誠作品を追って

君の名は。」があまりによかったので、huluで新海誠の監督作品を追っています。長編モノでは「ほしのこえ」、「秒速5センチメートル」と「言の葉の庭」を見ましたが、どれも発展途上な印象だったので、「君の名は。」で世界観が完成したのかもしれません。

ほしのこえ」は、宇宙空間を隔てて思いを寄せ合う超遠距離恋愛をテーマにしています。人物の絵はバランスが悪く、宇宙の設定も実移動についてはワームホールでショートカットしていながら、ふたりの距離を測る際にはそれが反映しておらず、いいとこ取りの印象でした。それでも僕の中では、一番感情移入できる作品です。

秒速5センチメートル」は3つの短編のアンソロジーですが、主人公の遠野貴樹が妙に老成しているのに、考えの視点だけが子供っぽいところに無理を感じます。ある意味物語としては破綻しているようにも思えますが、子どもの視点で語られていることを考えれば、リアルなのかもしれません。

「言の葉の庭」は、静かで落ち着いた展開にも関わらず、唐突に感情が解放されたかのように迸るところが共感しにくい部分です。教師と生徒の恋愛がテーマですが、必然のない設定が多いので、都合よく見えてしまいます。ちなみに、この作品のヒロインである雪野先生は、「君の名は。」にも登場しています。

ネガティブなことばかり書きましたが、それらの要素がまとまるような形で「君の名は。」という傑作に結実するのは、とても興味深いのです。新海誠という監督の成長を体験しているような気がします。