ローマでのイタリア国際準決勝での錦織とジョコビッチの一戦では、あれだけ好調な錦織でも勝てないジョコビッチの巧さに、あきらめの感覚があった。いわゆる「全仏」でベルダスコと対戦した錦織は、まさにその路線だった。ベルダスコが絶好調でおもしろいようにショットが決まっていたのに、それでも終わってみれば錦織が勝ってしまった。
やはりテニスには流れがある。2セットを無難に先取した錦織だったが、第3セットで開き直ったプレーに転じたベルダスコに流れを渡してしまう。それまでバックハンドのアンフォーストエラーが目立っていたベルダスコながら、バック側を攻められないように強いショットを打つとともに、先手を取って攻め続け始めた。