【ローランギャロス】錦織―ガスケ

試合前に錦織のコーチであるダンテ・ボッティーニが「ベルダスコ戦が一番よい出来だった」と語っていたことに、強い違和感があった。確かに、相手の出来がよい中で最大限の結果を得たのだから、それをもって「よい出来」とみることはできるだろう。しかし、ボレッリやクズネツォフを倒した試合に比べて狙い通りのショットが打てず、攻めが後手に回ってしまっていたのは明らかだった。

ダンテが「よい出来」と言うからには、錦織には「あれでよい」というメッセージが伝えられたのではないか。もちろん錦織も自分でしっかりと戦術を考えているだろうが、あの内容を肯定されては迷いが生じるのは仕方ないところだろう。

マドリードとローマで負けていても、ここローランギャロスで勝てたガスケは満足だろう。ここは、それだけの舞台なのだ。ベルダスコの中途半端な覚醒が錦織のピーキングを歪め、さらにパリの雨が流れを変えてしまった。フェデラーが不在でナダルも消え、マレーも本調子ではないこの大会の本命は、またしてもジョコビッチなのだろうか。