【東京国立近代美術館】竹内栖鳳展

竹橋の東京国立近代美術館で「竹内栖鳳展」を鑑賞しました。栖鳳は京都出身の日本画家で、伝統的な屏風絵の技法をベースにした作品が多くみられました。印象派の作品は、人間の目に映る膨大なアナログ情報を、脳が認識できるだけの情報として描きます。一方、栖鳳の作品は、動画を止めて目を凝らしたような、脳の認識速度を超えた写実性が特徴的です。

展示作品には屏風絵も多いので、動画のキャプチャーのような静止画的な描写もなじむのですが、彼がテキスタイルのデザインも手掛けていたという事実から、より一層その理解を深めることができました。雀も獅子も細かいところまでしっかりと描かれていますが、特に鹿については微妙な表情の描き分けが見事でした。

日本画ということもあって来場者の年齢層は高く、車椅子の人や杖をついている人も多く見かけました。狭い展示スペースの低い位置に作品があるために、全体をなかなか見ることができません。また、展覧会のポスターに使用している「斑猫」を、会期後半にしか展示しないのは反則です。僕が鑑賞した日は展示されていなかったのですが、出口にたどりついて「斑猫」をまだ見ていないことに気づいて引き返す人が何人もいました。

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