【東京ステーションギャラリー】エミール・クラウスとベルギーの印象派

東京駅に併設されている東京ステーションギャラリーで、「エミール・クラウスとベルギーの印象派」を鑑賞しました。東京駅の改装に合わせて休館しており、6年ぶりの再オープンです。展覧会はさておき、この美術館のスタッフとオペレーションには多大な問題があります。自動販売機でチケット引換券を購入して受付で引き換える意味は、「係員に現金を扱わせない」ことだけ。来館者にとっては手間な上に、不慣れな観光客を迷わせるだけです。さらに場内の係員は明らかに素人の高齢者で、鑑賞者のサポートをする意識はさらさらなく、不届き者に注意しようと虎視眈々と狙っている雰囲気です。これでは落ち着いて鑑賞できません。

キュレーションにも不満です。「印象派」を謳わないと動員できないのはわかるけど、この内容ならルミニズムや光をキーワードにして欲しかったところ。クラウスがメインながらモネやスーラなど日本人に通りのよい著名な画家や「印象派」をウリにしているので、焦点がボケています。

せっかくクラウスのウォータールー橋の絵とモネが同じ駅をモチーフにした「霧の中の太陽」が出展されているのに、並べれて展示してくれないキュレーターは、いったい何を考えているのでしょうか。実現可能性は別とすれば、フェルメールやジョルジュ・ラ・トゥールとクラウスをメインに「光を描いた画家」でまとめ、ルノワールとモネを交えた方がずっと面白そうです。

また、児島虎次郎や太田喜二郎といった日本人の描く印象派風な作品もありましたが、日本の風景にフランスの技法を持ち込んでもモチーフも良さが生きません。技法だけ真似しても、描かれているモチーフ以外にプラスアルファで訴えてくれるものがないんですよね。その点、クラウスの作品からは彼に描こうとさせた感情の源泉が感じられて素晴らしいと思います。

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html