【三菱一号館美術館】ヴァロットン展

丸の内の三菱一号館美術館で開催されているヴァロットン展。フェリックス・ヴァロットンはスイス出身でパリで活動した画家。ポスト印象派後期印象派)や象徴主義の影響を受けており、日本の版画にも傾倒していたようです。木版画の作品には、明らかに錦絵の影響が窺えますが、同時にフランスらしいイラストの技法も踏襲しているところが興味深いです。

油彩は、生活の一場面を切り取ったような作品が多く見られますが、前後関係のストーリーを画面に凝縮したフェルメールとは違い、彼の作品は解釈を鑑賞者に委ねたスナップショットと言えます。非常にニュートラルに情景が描かれ、あまり感情はそこに滲み出ていないのです。

また、女性を描いた作品では、体の線や肌感の描写に比べ顔のデッサンにこだわりが感じられません。はっきり言ってしまえば、顔のデッサンは下手くそなのです。それなのに肌のなめらかさや体温を見事に描いているこだわりに、彼の特徴を感じました。

http://mimt.jp/vallotton/midokoro.html