【東京国立近代美術館】パウル・クレー展

竹橋の東京国立近代美術館で開催されている「パウル・クレー展 -おわらないアトリエ-」を訪れました。この展覧会の印象を一言で表せば、「美術を博物のように、あるいは学校教材のように見せた」もので、その意味では非常に落胆させられました。絵画にこめられた画家の思いよりも、そのアプローチに焦点が当たりすぎているのです。

会場はテーマごとにパネルを分け、番号順に見せる配慮がされています。しかし、結果として観覧者は長い距離を歩かねばならず、しかも導線がわかりにくいので左回りだったり右回りだったり、かなり混乱しています。そして照明の当たり方もよくなく、作品の前に立って覗き込もうとすると、自分の影が作品を陰らせてしまうのです。

クレーは好きな画家なのですが、特に序盤に部分で思っていた以上に暗い色彩の作品が多く、ファンタジックなモチーフが不安な雰囲気を醸し出してしまいました。ゴールデンウィークにパリとリヨンで出会ったクレーの作品やその見せ方と比べてしまうと、明らかに残念な内容です。それは作品のクオリティもですが、それを見せ方で補えなかったということなのでしょう。正直なところ、あまりお勧めできない展覧会です。

http://klee.exhn.jp/