吉田の退場で一人少なくなり、そのリスタートでの失点から2点を奪っての逆転勝利。結果は素晴らしいし、それを焦らずに掴み取った選手のプレーには敬意を表する。しかし、日本代表が抱える問題点が露呈した内容だとも言えるのだ。
まずはディフェンス面から。カタールの１点目は、吉田が抜かれたことよりも、伊野波が残ってしまってオフサイドが取れなかったことが問題だ。そして、１枚イエローをもらっていながら不用意なプレーをしてしまった吉田麻也。あの時間では大事を取って交代させるには早すぎるから、もう少し自制するしかない場面だ。上がり過ぎる内田のポジショニングも含めて、守備陣の不安定さは解消されていない。
攻撃面では、前田がポストになれていない。サウジアラビア戦では「前田にボールを当てる」形にせずにうまく連動していたはずなのだが、相手が守備的にくると結局このパターンに陥ってしまうのか。本田圭佑も結果を残した香川もベストフォームとは言えず、遠藤も本来の出来からはほど遠かった。岡崎をスタメンで起用しているためにジョーカー不在なだけに、延長に持ち込まれなくてよかったと言えるだろう。準決勝は吉田もサスペンションなので、終盤に吉田を前線に上げるオプションもない。点を取りに行く場面で李忠成、藤本、柏木をどう使うのか、ザッケローニの采配に期待したい。
スポーツ新聞の一面は、順当なら香川。伊野波のところもあるだろう。しかし、準々決勝カタール戦のＭＶＰを上げるなら、間違いなく長谷部だ。日本代表の足が止まった時間帯で、サイドを上がったり縦パスを入れたりしてカバーしていたからこそ、決勝点が生まれた。主審への抗議も含めた優れたキャプテンシーと合わせて、彼の今大会での評価は非常に高い。
