【モテキ】鋭い心理描写

Twitterで話題になっていたので全4巻を一気買いしましたが、なかなか一気には読むことができませんでした。というのも、心理描写があまりにもリアルで、飛ばして読んでしまうには重すぎるのです。作者は久保ミツロウ。こんなペンネームですが、実は女性です。

ストーリーは、三十代目前の独身男子・藤本幸世が、知り合いの女の子からの一本の電話をきっかけに「モテ期」に突入するというものです。幸世は勢いで女性を経験してしまったことはあるものの、愛があったわけではないので、後悔しています。また、高校時代には、唯一告白された経験を持ちながら自分から振ってしまったりと「彼女いない暦=年齢」です。

とにかく男女の駆け引きを描く心理描写は絶妙。ただ、どこかにやはり「女性視点」なのだという痕跡は残っています。僕の率直な印象では「恋愛したい」のではなく「彼女が欲しい」という感情ってこれほど強いものなのかと、訝しくすら思いました。それに、モテキとはいえ基本モテない設定の幸世が、意外にうまく複数の女性を渡り歩いてしまいあたりはリアリティを欠いているようにも読めますね。

モテない男子にとってのモテキとは、こんなに微妙でせつないものなのかと、今にして考えさせられながら読み進めました。ただ、展開は思ったよりもハッピーな内容なので、ちょっと幸世がうらやましくすらあります。

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