【長谷川等伯展】圧倒的な迫力

最初の展示に、いきなり圧倒された。それがこの展覧会の第一印象でした。東京・上野公園の東京国立博物館・平成館は予想を上回る大混雑で、背の低い人や車椅子での観覧は難しかったことでしょう。展示室に入って最初に目にする「十二天図」に描かれる豪放磊落な線。荒削りな印象はあるものの、色彩の鮮やかさと相まって独特の世界感になっています。

長谷川等伯の作品でもっとも象徴的な題材は、インドなどアジア由来の神々です。人物画はイラストのようになってしまいますが、鏑木清方に通じるような芸術性にこだわらない自由な線によって描かれた表情は、とてもフレンドリーです。そして屏風画は、優雅のかけらもありません。大胆な構図で切り取られた荒々しい自然の姿がそこにありました。

この展覧会は等伯の没後400年を記念したもので、「史上最大にして最上の大回顧展」を売りにしています。国宝級の作品に加え、10m×6mの大作「仏涅槃図」(本法寺蔵)も展示されています。そして、もうひとつの特徴は25日間という短期であること。このあと巡回する京都でも、27日間のみの開催なのです。新聞社が後援しての短期開催ということで、かなり動員が集中しているみたいですね。それでも見る価値は十二分にあるので、3月22日までの会期にぜひ足を運んでみてください。

http://www.tohaku400th.jp/index.html