【バンクーバー】アイスホッケー決勝の奇跡

試合時間は残り1分半を切り、ほぼカナダの赤に埋め尽くされたスタンドは悲鳴交じりに戦況を見つめていた。アメリカは、好守でチームを支えてきたゴーリーのミラーを上げ、6人攻撃を仕掛ける。その2秒後にドラマは起きた。FWランゲンブルナーのブレードに当たってこぼれたパックを、NHLでも同僚のFWパリゼイが叩き込んでアメリカが奇跡的な同点ゴール。

この時点でアリーナの興奮はいったん静寂に覆われ、ごく一部のアメリカファンの歓喜が回りから浮いて見えた。仕切り直しのオーバータイム。ドラマはまだ終わっていなかった。カナダはFWイギンラがチェックを受けながら出したパスに、若きエースFWクロスビーが走り込んで合わせ、貴重な決勝ゴールを奪ったのだ。劇的な勝利にスタンドの赤が大きく揺れたが、その反応は素晴らしく速かった。

この大会のベスト6を考えてみよう。まずゴーリーは、文句なくアメリカのライアン・ミラーだ。そしてDFは豪快なゴールが印象的なフィンランドのサミ・サロとカナダのプロンガー。FWはスロバキアのデミトラ、ロシアのマルキン、そしてテクニックが光ったカナダのマーローを挙げたい。次回のソチではリンクサイズが国際規格になると思われるので、ヨーロッパ勢の活躍が楽しめそうだ。