【チェンジリング】意外な名作

WOWOWで放送された「チェンジリング」。事実に基づいた作品と言うこともあって、ドキュメンタリー色が強いのかと勝手に思っていました。ところが、実際に見始めてみると、主演のアンジェリーナ・ジョリーと「悪役」であるロサンゼルス警察の警部を演じたジェフリー・ドノヴァンの演技力に惹きつけられました。

善悪の対立をこれでもかというくらいに明確に位置づけ、観ている者の感情移入を容易にしてくれます。このあたりは、まさにクリント・イーストウッド監督の真骨頂なのでしょう。最後まで期待させておいて、結局中途半端で終わってしまう印象もありますが、「希望」というキーワードにこめられたイーストウッド監督のメッセージは明確でした。教会を善の象徴のように描いていることと合わせ、宗教色を感じてしまうところに若干の違和感は否めませんが…

こんな事件が現実に起こったことに驚きを感じますし、そんな混沌が当たり前の社会がついこの前まで身近にもあったはずだということをあらためて思い起こしました。ただ、このような真実をとことん追求したり、それを民衆が支援したりするストーリーが成立するのも、個の確立したアメリカならではなのでしょうね。

ちなみにタイトルは、自分の子どもを醜い子どもに取り替えられてしまう寓話に基づいているそうで、同名のカナダ映画もありました。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id332551/