【小室哲哉論】凋落の前兆は

僕はかつてホームページ「T's Works」に音楽エッセイを連載していましたが、その中のTM Networkの回に、小室哲哉がなぜあそこまで凋落してしまったかの前兆を感じることができますので、ここに転載してみます。恐らく、僕がこれを書いたのは3年ほど前です。転載部分では音楽性にのみ触れていますが、彼の詞やタイトルに使う英語もデタラメですよね。"Crazy Gonna Crazy"も"Body Feels Exit"も、ネイティブは顔をしかめそうです。

<おんがくのじかん 32時間目 TM Network「崇高なダサさ」>
当時、僕がどのようにしてTM Networkの音楽とめぐり会ったのか、今となっては思い出せない。おそらく、レンタルレコード(CDではない)の店でたまたま見つけたのではなかったか。そのアルバムは初期の傑作と言われる「Gorilla」だった。ダンサブルで無機質な音楽には、独特の世界があった。「Come On Let's Dance」に典型的にみられるのだが、おしゃれでセンスの良い反面ものすごくダサい部分もあって、その対比が絶妙なのだ。サビの「Come On Let's Dance. Wow-wow wow wow wow wow」という部分の後半は実に陳腐だ。しかし、僕はけなしてこれを書いているのではない。それが彼らの魅力なのだ。僕が一番好きな「You Can Dance」にしても、わざと狙ったようなアマチュアっぽいアレンジが泣かせる。

この傾向は、間違いなくプロデューサー小室哲哉に受け継がれている。華原朋美の楽曲にその傾向が顕著に出ているのは、小室の気持ちなのかもしれない。あれは間違いなく、狙ってやっていると思う。微妙なダサさは、聴く者の記憶に残るからだ。CMソングでも言葉が字余りだったり、無理に商品名を乗せているジングルの方が覚えているではないか。