【映画】ミッドナイトイーグルの緊張感

派手なアクションシーンがあるわけでも、起きる出来事に強い現実味があるわけでもない。けれど、この作品の持つ緊張感は、2時間を超える上映時間を感じさせないくらい観る者を惹きつけます。緊張感を生んでいるのはアクションドラマよりも心理面を重んじた演出と編集、そしてキャストの演技力でしょう。

危機迫る雪山で、生死を賭けて向き合う3人の男性。タフガイでもなければ優れた武器を有しているわけでもないが、自分の生き様をしっかり持った三者三様の勇姿が静かな満足感を生み出します。大沢たかおの風来坊的な生き方、玉木宏の反体制な正義感、そして吉田栄作自衛官としての静かなプロフェッショナリズム。これらが織り成す生々しい人間味が、この作品の見どころです。

不満を言えば、首相を演じた藤竜也の決断力の希薄さに現実感がなかったことと、雑誌編集長の石黒賢が不必要なまでに業界人風に不真面目な設定だったこと。竹内結子を含む主演陣の設定が良かっただけに、かえってその中途半端さが目についてしまいました。音楽も小林武史が担当した割には月並みすぎて、彼の持ち味が発揮できていなかったように思います。

http://www.midnighteagle.jp/