【相撲大麻問題】大嶽部屋の戦略ミス

小学生の頃は大相撲が好きで、読売新聞が出している「大相撲」という雑誌を毎回買っていた記憶があります。当時の力士では、富士桜のファンでした。小兵ながら、突き押しだけで上位陣を食っていく相撲が小気味よかった。そんな記憶を思い出しながら今回の騒動を見ると、協会の体質にはがっかりさせられてしまいます。

まだ警察の捜査も及んでおらず、しかも「所持」の事実がなければ「使用」が認められても刑事処罰されないという状況では、露鵬白露山も自ら「吸引した」とは言うはずもありません。大嶽部屋が弁護士を伴って開いた記者会見とその対応に疑問の声もあります。僕は、その対応自体は間違っているとは思えないのですが、タイミングは明らかにミスでした。

協会が処分について決定していない状況では、大嶽部屋サイドには守られるべき「利益」は存在しなかったのです。「解雇」という処分が決定した今であれば、その処分の手続きが正当なものであったか、瑕疵はなかったかという事実を争うのは当然です。しかし、そうではなく、あの時点で検査の手続き論を闘わせ、協会が目指している方向性に楯突いてしまったのは時期尚早でした。彼らが闘う争点は「解雇無効、処分無効」であって、検査そのものではなかったのですから。

結果として北の湖理事長は理事に降格し、大嶽親方も降格しましたが、実質的な損失はほとんど何もない形骸的な罰でしかありません。間垣親方も同様でしたが、これこそが問題の根本解決をうやむやにしている温床ではないかと思います。