【朝青龍問題】処分プロセスは妥当か

横綱朝青龍が休場中にサッカーのイベントに参加した問題で、相撲協会は減俸30%・4ヶ月と2場所の出場停止に加え、自宅・相撲部屋・病院以外に理由なく出られない謹慎処分を言い渡したとのことです。一見軽すぎる処分のようにも見えますが、人事の仕事をしている僕の目から見ると、微妙な問題をいくつも孕んでいるように思えます。

まず減俸の程度ですが、労働基準法では懲罰による減給は(わかりやすく言うと)10%までと決められています。日本相撲協会の雇用形態はよくわかりませんが、月給制の労働契約だとすると、この制裁は違法ということになりますね。プロ野球やJリーグならば労働契約とは異なるので当てはまりませんが、相撲の場合は協会との間に定年まであったと記憶しているので、問題になる可能性は高いのではないでしょうか。

もうひとつ、雇用契約であれば制裁を課する際には本人や関係者に事情を確認したり、また本人が抗弁(「違う」と主張)できる場を儲ける必要があります。今回の一見では朝青龍本人は高砂親方とともに北の湖理事長に「謝罪」には行っているようですが、これを「調査」や「抗弁」の場とはみなすことはできないでしょう。

プロスポーツ選手が、自分の競技ができなくてファンの期待に応えていない期間に、他のスポーツに興じてガッツポーズまでしているのは確かに異常です。イベントのビデオを見る限り、素人には難しいヘディングをしたり倒れた後に勢いよく立ち上がったりと、とても手術が必要な疲労骨折という状況には見えませんでした。常識的に考えてこの処分は甘いように見えますが、相撲協会との契約形態如何によっては上記のような問題が発生することを確認しておくべきではないかと思って見ています。