【人事の話】研修の裏の意味

会社が社員向けに開催する研修には、スキル研修や管理職研修、新入社員研修などさまざまな内容があります。もちろん人事の立場としては、社員のレベルを上げたいということもありますが、それと同時に研修は社員をアセスメントする絶好の場でもあるのです。

最近の傾向として、講師が一方的に何かを話すという「座学型」は減り、その代わりにロールプレイイングやグループ討議のような「参加型」の内容が増えています。受講者が討議しているところを見れば、誰がそのグループのリーダーか、誰がどんな発言をしているか、積極性があるのは誰かなど、いろいろなことがわかります。また、ロールプレイイングで実際に部下指導の演習をさせれば、かなり現実の場面に近いシチュエーションが再現されるので、その人の持つ問題点や改善ポイントが浮き彫りになるのです。

僕は、以前の会社が別の会社を買収した際、被買収会社の管理職をグループ会社合同で開催したマネジメント研修に全員参加してもらい、その研修をオブザーブしたことがとても役に立ちました。討議では結構本音が出るので、買収についてどう考えているか、カルチャーの違いを受け入れようとしているかどうか、タフな環境に適応できそうかということがかなりわかってしまうのです。

ただ、すべての人事が研修をそのような意味で捉えているわけではなく、中には担当者に任せ切りにして、ただ「やった」という実績だけで満足しているケースも少なくありません。社員をアセスメントする機会をみすみす見逃すなんて、もったいないのに…