【人事の話】ビジネスカジュアル導入で

6年前の初夏に僕が当時勤めていたアメリカ系の化粧品会社が、本社でビジネスカジュアルを導入したのをきっかけに日本のオフィスにも適用されたんです。その会社は女性が多く、男性も若い人が多かったので、みんなほとんど抵抗なくビジネスカジュアルを受け入れました。それに、もともと金曜日はカジュアルデイだったからね。

転職して今の会社に移ってもやはりビジネスカジュアルなので、もう6年くらいネクタイとスーツを着用しない生活です。そんな僕の会社が、3年前に日本企業を買収しました。僕はその企業の統合プロジェクトのメンバーになったので、初日に社長やプロジェクトメンバー10名と一緒に大手町にあったその会社に乗り込みました。ちょうど8月の、一番暑い時期だったんです。統合作業の第一弾は「ビジネスカジュアルの導入」。社員にも受け入れられるだろうし、外資系らしさを実感してもらおうというコンセプトでした。それに、僕たちもいまさらネクタイにスーツなんて嫌だったし…

もちろん、ビジネスカジュアルにおいてスーツの着用は自由。最初のうちは様子を見ていた社員が、少しずつ服装を変えていきました。当時、買収先の総務人事部長だった人はなかなかネクタイを外さなかったので、「人事の立場としては勇気を出してほしい」って言おうかと思っていた頃に僕と一緒に出張があったんです。その日、彼は奥様の行きつけのショップのメンズで買ったというジャケットにノーネクタイで現れ、それ以降はカジュアルを実践してくれました。やっぱり物事には、きっかけが必要なんですね!