【イエメン戦】戦術なき勝利

交代出場していた我那覇が後半ロスタイムにゴールを決めた。高地という環境の上に、狭い競技場サイズ、凸凹のピッチからは砂が舞い上がるという最悪な状況。それにしても、ピッチに送り出された11人は何を考えてプレーしていたのか、僕にはよく理解できなかった。

遠藤はもっとインテリジェントのある選手だと思っていたのだが、FWを追い越していくようなプレーもなければ、あのピッチ状態でなぜショートコーナーをやる必要があったのかわからない。サウジ戦を見れば、駒野を外してアレックスをアウトサイドに据えたことは理解できる。しかし、そのアレックスが足元でのミスが一番多くなかったか。決勝ゴールの直後、1分だけチャンスを与えられた19歳の梅崎の方が、ずっと自信にあふれた安定したプレーだった。

そして、我那覇。確かに決勝ゴールは決めたが、それまではまったく見せ場がなかった。川崎で見せているような思い切りの良い動きが姿を潜め、何とも煮え切らない動き出し。ゴール後のパフォーマンスがいまいち冴えなかったのは、自分でも認識があったのだろう。

とはいえオシムのプランには満足している。TBSは「(アジアカップ本選の出場権よりも)まずは勝たなければ」と煽るが、そんな必要はない。予選の目的は出場権の獲得だ。必要以上に勝ちや得点にこだわって、アテネ五輪の野球やソフトボールパリーグソフトバンクのように目的を逃したら意味がないのだ。新戦力を鍛えつつ出場権を獲得したのは、オシムの成果といえよう。タイトルを賭けた本選は、また違う戦い方があるはずだ。