【ドイツ-アルゼンチン】ゲームプランの機微

監督をやったことはもちろんないが、恐らくいくつかのシナリオを想定して複数のゲームプランを組み立てておくのだろう。アルゼンチンのペケルマン監督は、後半早々の得点を守りに行った。1点勝負になるという読みだったのだろうが、司令塔リケルメを守備力のあるカンビアッソに代えようとしていたときに、GKアボンダンシエリが負傷したことがターニングポイントだった。

GKを交代させ、さらにカンビアッソも予定通り投入すると、ペケルマンにはもう1枚しか交代のカードは残されていなかった。そしてクレスポを下げてカードを使い切った次の瞬間、クローゼのヘッドが突き刺さった。このゴールは、アルゼンチンDFが下がりすぎたことが原因だ。追いついた方に勢いがあるとよく言うが、それは追いつかれた方がゲームプランを崩されたからでもある。フリオ・クルスの動きは良くなく、テベスの足も後半の早い時間から止まっていた。

延長後半にはドイツの主将、バラックも足を負傷する。ピッチの外に出て治療を受けた彼は、しかしセットプレーで戻ると、FKを渾身のヘッドでクリアしてみせる。ゲルマンの魂はまたも生きていた! そしてPK戦でも2人目に登場すると、難なく決めてしまうのだ。

敗退したアルゼンチンは残念だが、賛辞を惜しみなく贈ろう。ピークが少し前過ぎたのかもしれない。しかし、マキシ・ロドリゲスは間違いなくこの大会を盛り上げた選手のひとりに数えられるし、メッシも話題性という意味で大いに貢献した。素晴らしいプレーをありがとう!

そして、この試合のレフェリングがわかりやすくて素晴らしかったことも、書き添えておこう。