【マルタ戦】マッチメイクの意味は?

開始早々の玉田の先制点を守って、結果としては勝利をモノにしたジーコ・ジャパン。しかし、彼らにとって世界ランク125位のマルタとの一戦には、どのような位置づけが与えられていたのだろうか。ドイツ戦は、欧州の強豪に挑むことで本大会前のチームの成熟をチェックするとともに、選手にとっては次のシーズンに欧州でプレーする機会を広げるであろう展示会でもあり、自ずとモチベーションは高かったはずだ。しかし、このマルタ戦では、結果を求めるのか、試合勘維持なのか、何かを試すのかわからなかった。

走らない仲間に業を煮やしたというヒデは、無理を承知で得意の「厳しいパス」を連発する。受け手が取れないことを承知で、「これを取れるくらい走れ」というメッセージを出したのだ。しかし、それはあくまでヒデのゲームプランであって、サムライブルーの戦士たちには共有されてはいなかった。

試合勘という意味では、小野の出来は目を覆うばかりだった。中村俊輔も効果的なプレーはほとんどなく、動き出しこそ絶妙だった大黒はフィニッシュが決まらない。調整なら調整でいい。ところがそう言い切るわけでもないから、見ている側は腹が立つのだ。このゲームの意味は、玉田が点を取ったことと危機感が醸成されたこと、そして小野のコンディションが判明したこと。それだけだ。