【ドラマ】三体

中国の小説を原作として、英国に舞台を移して製作されたドラマ。科学をベースとしながらも、ゲームの世界もオーバーラップするなどフィクション要素も強いので、全体的に我田引水的な展開になっている。三連星を拠点とする三体星人が地球を移住先として狙っているが、地球に到達するのは400年先という点が重要なポイントだ。

地球に生活する人たちに投げかけられる選択肢は、400年後の危機に備えるべきか、あるいは足元の生活が優先なのかということ。これはつまり、地球温暖化を含む気候変動や資源の枯渇、人口増加による食料不足など現実に起きている事象の一類型に過ぎないということだ。同時に、企業が当たり前に直面する「今期の利益か、持続的な成長か」という選択肢にも通じる問題と言える。

本作の中でも宗教のような位置づけで対立が描かれるが、どちらを選択するかは価値観の違いに他ならないので、宗教のように「信じるか信じないか」という違いでしかない。ふぉちらにも合理性があるし、本来の政治や企業経営は両者の間でバランスを取りながら判断するものであって、決して「イチかゼロか」ということではないのだ。

俳優陣で気になったのは、「ドクター・ストレンジ」などのマーベル作品でウォンを演じるベネディクト・ウォンが捜査官ダーシーを演じていること。存在感は独特ながら、コミカルな要素を排しているところが新鮮だ。最終話では「シリコンバレー」のビッグヘッド役のジョシュ・ブレナーとの絡みもあって、僕にとっては意外性もあり、興味深かった。また「FBI:特別捜査班」で分析官エリースを演じるヴェデット・リムは、重要な役どころながら出番は多くないことが残念だった。

ここからの展開が面白くなりそうなところでシーズンが終わってしまったので、シーズン2への期待も高まっている。