【栃木―大分】層の薄さを露呈

ミッドウィークにも試合がある3連戦の最終日は、保田をU-19代表のヨルダン遠征で欠き、野村も欠場。結果的に、若くはない長沢と渡邉を休ませられない状況になった。アタッカー枠に本来DFである薩川や松尾を入れてしのぎ、最後はビハインドの場面で止むを得ず投入した守備的なはずの羽田が痛恨のミス。ペレイラをパワープレイ要員として投入して、長沢のPKで追いすがるもそれまでだった。

前半のうちに1点が取れていたら、展開はまったく別のものになったはず。惜しい場面もあったが、決定力がまったくなく、ゴールの予感すらしないままに時間が経過してしまった。インサイドで起用された小酒井はパスを出すまでは合格点だったが、そこからEWのサポートができず、シュートの場面でパスの選択肢を作れず、栃木にとっては守りやすい単調な攻撃になってしまった。

前半こそ、パスの受け手の利き足を考えたプレーができていたが、徐々に雑になってしまい、終盤は出し手と受け手のミスマッチで何度も余計な手数を増やさざるを得ない状況に陥っていた。

いずれにしても、このような層の薄い陣容で長いシーズンを戦うのは無理がある。選手登録されていながら起用されていない選手たちは、何らかの故障があるのだろうか。公式にリリースを出しているサムエルや鮎川だけでなく、町田、梅崎、池田といったあたりも使われないが、これは下平時代から続くコンディショニングの失敗なのか、あるいは強化部と監督の意思疎通の悪さなのか。

複数年契約もあるだろうから、そう簡単に選手を入れ替えられるわけではないとは思うが、それにしても主力になるべき選手が起用されないのでは、予算の無駄遣いにしか見えない。夏のウィンドウで大掛かりな見直しができないなら、今季は若手育成に舵を切るしかないだろう。