【映画】ハート・オブ・ストーン

Netflixの新作スパイアクション「ハート・オブ・ストーン」は、秘密組織「チャーター」からMI6に潜入しているスパイが二重スパイの複雑な関係から事件に巻き込まれる展開。イタリア・アルプスではスノーバイクやパラグライダーを使ったアクションが壮大で、リスボンでのカーチェイスを経て、セネガルの砂漠上空での決闘からの降下シーンなどアクション面ではアイデアも秀逸で、見どころが満載だ。

ただ、最近のスパイものや犯罪捜査ものにありがちな「情報処理クルーが分析して、AIが予測する」ことがすべての展開の中心にあって、いかにも安易な作りに見えてしまう。昔の刑事ドラマなら、足を使ってひとつひとつ証拠に迫ったものだが、今では監視カメラとデータベースで解決してしまうからお手軽だ。だからこそ、映画の展開もスピーディで無駄な時間がかからないということなのだが、そこに苦労がないと解決した際の達成感も大きくはならない。

俳優陣では、先日「ザ・テラー」で重要な役割をこなしていたポール・レディが渋い役柄で存在感を放っているので、あっさり退場してしまうのは残念だ。「LAW & ORDER:性犯罪特捜班」では医師役だったB.D.ウォンも同様で、割とあっけない役だった。主要人物に華やかさが欠けていることもあって、ベテランが脇を固めている印象ではあるのだが、それにしては扱いがぞんざいな感じがする。