【ドラマ】警部補アニカ

海上殺人捜査ファイル」というサブタイトルがついているように犯罪捜査ものではあるのだが、スコットランドグラスゴーを舞台に河口から海へつながる大自然が映像を彩るドラマ作品だ。クライド川がクライド湾に流れ込む部分にあるこの都市では、海上交通も重要な移動手段。イメージとしては長崎のような感じだろうか。

いわゆる刑事モノでありながら、役者が一人語りする場面も多く、英国らしい演劇的な要素が織り交ぜられている。内容的にも飲酒癖のある不良娘に手を焼いたり、そのカウンセラーに惚れてしまったりとアニカ自身のプライベートも三枚目な感じに描かれ、ストーリーを膨らませている。シリアスになり過ぎないところは、北欧ドラマとは一味違うところだ。

僕が個人的に印象に残ったのは、スコットランドノルウェーのつながりの深さ。設定上アニカはノルウェー人で、グラスゴーの街でも「ノルウェーの奴らは~」といった台詞がよく聞かれる。あらためて地図を見てみると、イングランドドーバー海峡を挟んでヨーロッパ大陸のフランスと向き合っているが、スコットランドにしてみれば隣りの大陸国家はノルウェーだ。デンマークが北欧なら、英国も十分に「北欧」。ノルマン人という視点で見れば、スカンジナビア半島から英国、アイルランドアイスランドグリーンランドとつながって、北米大陸にまで到達してしまう。このあたりの「土地勘」的な感覚に気づかせてくれたのが、本作だったのだ。