【フィギュアスケート】グランプリファイナル 男子シングルSP

NHK杯では宇野昌磨のジャンプに軒並み回転不足の「q」がつき、宇野本人もジャッジの厳しさとブレに不快感を表明していただけに、男子シングルでジャッジがどのような採点をするのかが気になっていた。見る限りでは、審議の黄色表示がつくことはなく、通常運転に戻った印象で、選手たちもある意味ほっとしたことだろう。

一方で速報表示では、三浦佳央の最初のジャンプに「コンボ」がついたり、マリニンが最初に挑んだ大技の4Aがノーカウントを示す「×」がつくなど、見ていてクエスチョンマークが浮かんでしまう場面が続いた。三浦の扱いはよくわからないが、マリニンの方はSPの規定にある「ステップからのジャンプ」として4Aを跳び、さらに「アクセルジャンプ」の枠で3Aを跳んだと考えるしかないのだが、この4Aが速報段階では「ステップからのジャンプ」ではなく「アクセルの重複」とみなされたのではないかと、個人的には感じている。

いずれにしても、SPのプログラム構成に4Aを入れてくることは業界的にも想定外だったはず。失敗すれば0点になってしまうレギュレーションの中であえてリスクを冒したのは、グランプリファイナルという大会が「トライアルの場」でしかないことの証明でもある。彼にとっては全米選手権で代表の座をつかんで世界選手権に臨むことが重要で、この大会はその通過点でしかないのだ。いや、それはマリニンに限った話ではなく、ここに来ているすべての選手に共通して言えることだろう。

男子シングルはマリニン、宇野、鍵山の上位3人が100点越えのハイレベルな戦い。FSでマリニンが「4回転の神」らしさを見せれば圧勝だろうが、失敗モードに入ってしまったときは宇野と鍵山にも勝機は大いにありそうだ。