【映画】インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

邦題のつけ方には、違和感を感じないわけにはいかなかった。「アンティキティラの機械」をどう訳すかということだが、「ダイヤル」はいかにも軽すぎて神秘性を薄めてしまっている。その影響もあり、また主演のハリソン・フォードが80歳を越えているということも相俟って、昔から好きなインディ・ジョーンズのシリーズながら期待感がどうにも高まっていなかった。それでも視聴に至ったのは、「アマゾンプライムで配信が始まったので、まあ見てみようか」という軽い気持ちだった。

プロローグの部分でのハリソン・フォードは、いわゆる「ディエイジング」という技術で若作りした映像で登場している。若い頃を描いているパートで顔にもハリとツヤがあり、アクションもそれなりには見えたが、細かい動きの部分では年齢を感じてしまった。そして、本編に入ってからは、馬やトゥクトゥクを操ったり、ダイビング、パラシュートなど本人があまり動かずに済むアクションシーンをつなげ、コミカルなインディ・ジョーンズらしい一面を表現した。このハリソン・フォードの使い方は、絶妙だったと言えよう。

そんな彼の衰えを補って余る活躍をしたのが、「フリーバッグ」のフィービー・ウォーラー・ブリッジ。ビジネス最優先で事を進めるドライさを持ちながらもインディやテディ少年を気遣い、アクションもしっかりこなすあたりは、とてもプロデューサー業と二足のわらじとは思えない。さらには、「アナザーラウンド」のマッツ・ミケルセンや「エビータ」のアントニオ・バンデラス、「サンドマン」のボイド・ホルブルックといった実力派が脇を固める。キャスティングだけでも、見応えは十分だ。

ハリソン・フォードの年齢と、製作陣のリキャストを望まない方針から考えても、次回作は難しそうだ。そうなると、インディ抜きでのスピンオフということも考えられるかもしれない。その場合は、フィービーの主演を期待したいところなのだが…