100回目を数えるラグビーの早慶戦が、秋晴れの国立競技場で開催された。慶應視点で言えば「慶早戦」だが、そこにはこだわらないでおこう。ここ数年の慶應の弱体化を踏まえれば勝つことを期待する気持ちはあまり湧いて来ないので、内容で魅せて欲しいと思っていた。
序盤に立て続けに早稲田にトライを許し劣勢を強いられた慶應は、伝統のアップアンドアンダーを仕掛けるものの、キックが深すぎる上に追ってゆく選手からも本気さが感じられず、なかなかハマっていなかった。だが、徐々に良いプレーが出始める。まずはSOが自らのキックをキャッチしてそのままトライ。さらにはドライビングモールからのゴールラインを前にしつこいくらいに連続攻撃を仕掛け、最後はなんとかねじ込む形でトライを返した。
ただ、この流れの中で、せっかくHOが巧妙なフェイントで抜け出して独走かと思われたところで笛が鳴り、しかも慶應ボールという不可解な判定があったことは残念だ。
その後もトライとPGで引き離されながらも、ラインナウトからのモールを押し込んで3つ目のトライを奪い、センスの良さは見せつけてくれた。早稲田の方が全体的にプレーの質も連携もよかったが、ラグビーセンスという意味では慶應の方が上回っていた。
慶應で目についたのは、HO中山、FL富田とSO山田。特に富田はオープンサイドのワイドな位置でラインに参加したり、SHがラックに巻き込まれているときに球出しをしたりと存在感を示していた。インジュリータイムにトライを許したことが悔やまれるが、全体的に慶應のラグビーは悪くない内容だったと感じている。